停電や地震が発生した瞬間、オフィスのドアは「開けたいときに開くか」「閉じたいときに閉じるか」——そこまで考えてBCP計画を作っている企業は、まだ少ないのが現実です。

入退室管理は、平時のセキュリティ対策として語られることがほとんどです。しかし近年、BCPの観点から入退室管理を再評価する動きが加速しています。人が少ない状況でも施設を安全に運用できるか、万一の際に誰がどこにいたか記録として残せるか——この2点が、事業継続計画の中核を担いつつあります。

この記事では、BCP対策と入退室管理を結びつけるロジックを整理し、具体的にどのようなシステム構成が有効なのかを総務・防災担当の方に向けて解説します。

BCP対策 入退室管理 - Modern Japanese corporate office entrance lobby wi

BCP対策で入退室管理が問われる理由

「BCPというと、まず安否確認ツールの話になる」という現場担当の声をよく耳にします。たしかに人命が最優先ですが、その次に問題になるのが「施設の継続運用」です。

BCP対策 入退室管理 - BCPの対応フェーズと入退室管理の関わり。発災直後(避難・人命確認)→数時間後(施設の安全確認・通行

大規模災害時に施設へのアクセスを適切に制御できないと、何が起きるか。関係者以外が避難拠点として勝手に侵入するリスク、復旧作業中の重要資産の紛失、そして誰がどのエリアにいたか把握できないことによる安否確認の遅延——これらはすべて事業復旧の足を引っ張る要因になります。

Q: BCP対策で入退室管理システムが必要な理由は?

非常時に「誰がどこにいるか」を記録し、重要エリアへの通行を制御することで、安否確認の迅速化と施設セキュリティの維持を両立できるため。停電時の動作保証も選定の重要要件となります。

2026年に入ってからのインタビュー記事でも、「人がいなくても回る仕組み」がBCPの新しい軸として注目されています。少人数でも施設を安全に管理できる入退室管理システムの整備は、まさにその「仕組み」に直結します。


非常時に発生する3つのアクセス管理リスク

災害対応の現場でよく見られる混乱を、3つのパターンに整理しました。

① 鍵管理の属人化

物理的な鍵束を特定の担当者が持っている場合、その担当者が不在だと施設全体が機能しません。地震・水害で担当者が出社できなくなった際に、「鍵がなくてオフィスに入れなかった」という事例は珍しくありません。カード・暗証番号・生体認証などを組み合わせた電子的な入退室管理に移行することで、権限の分散と遠隔からの制御が可能になります。

② 停電時の施錠・解錠の不確実性

電動ドアや電気錠は、停電時に「開く(フェイルセーフ)」か「閉まる(フェイルセキュア)」かの設計が製品によって異なります。この設定がBCP計画と噛み合っていないと、避難路がふさがれたり、逆に重要エリアが無施錠になったりする事態が起きます。

③ 入退室ログが残らない

非常時に「あのとき誰がビルにいたか」を確認できる記録がなければ、安否確認は勘と電話頼みになります。入退室ログは、緊急時の安否確認を組織的に行うための基盤データです。

BCP対策 入退室管理 - 停電発生時の入退室管理システムの動作フロー。停電発生→UPS(無停電電源装置)による継続動作→バック

Q: 停電時に電気錠はどう動作しますか?

製品・設計によって「停電時に解錠(フェイルセーフ)」または「停電時に施錠維持(フェイルセキュア)」の2通りがあります。避難経路はフェイルセーフ、サーバー室等の重要エリアはフェイルセキュアと、エリアごとに使い分けることがBCP設計のポイントです。


内部統制・サイバー攻撃対策との接点

BCP対策の対象は自然災害だけではありません。昨今のトレンドとして、サイバー攻撃やシステム障害による事業停止リスクが急速に存在感を増しています。

その文脈で、入退室管理は「物理セキュリティ」として内部統制の一角を担います。サーバー室・ネットワーク機器室・重要書類保管エリアへの入室履歴を記録・管理することは、不正アクセスや内部不正の抑止力になります。企業のグローバル化やBCP対応の観点から入退室管理システムの強化が求められているという声は、システムインテグレーター各社からも多く上がっています。

ここで見落としがちなポイントがあります。

入退室管理システム自体のセキュリティ設計です。クラウド依存度が高いシステムは、インターネット障害が発生した際に認証が通らなくなるリスクがあります。BCP用途で入退室管理システムを選ぶ際は、ローカルで完結する認証動作ができるかどうかを確認することが欠かせません。

Q: 入退室管理システムと内部統制はどう関係しますか?

サーバー室や重要エリアへの入室履歴を電子的に記録・管理することで、不正入室の抑止と事後監査が可能になります。ISO27001やプライバシーマークの取得審査でも入退室ログの整備が評価対象となるケースがあります。

問いかけとして確認しておきたいのが、「現在の入退室管理システムは、インターネットが遮断されても動くか」という一点です。クラウド認証に全面依存しているシステムは、通信障害時に施設管理が麻痺する可能性があります。


BCP対応の入退室管理システムを選ぶ際の評価軸

非常時の運用を見据えてシステムを選定するとき、カタログスペックだけでは見えてこない評価軸があります。

登録ユーザー数の上限

本社だけでなく、支社・倉庫・災害対応拠点など複数拠点のスタッフを一元管理するには、登録できるユーザー数に余裕が必要です。1,000人規模の企業なら、拡張を見越して数千〜数万人規模の登録に対応できるシステムが安心です。

スタンドアローン動作の有無

サーバーやネットワークが落ちても、リーダー単体で認証・解錠できるスタンドアローンモードは、BCP文脈では必須要件に近い機能です。逆に言えば、クラウド常時接続が前提のシステムは、ネットワーク障害時に入室自体ができなくなるリスクを抱えています。

入退室ログの保存方式

非常時の安否確認に活用するには、ログがローカルにも保存されている必要があります。クラウド側にしかログがないシステムは、インターネット障害時に記録参照ができません。

既存電気錠・サムターンとの互換性

BCPの初動は「現状の建物を使って事業を続けること」です。改修工事が大がかりになるシステムは導入ハードルが上がります。既存の電気錠に後付けできるリーダーや、各メーカーの錠前に対応できる汎用性を持つ製品は、コストと工期を抑えるうえで有利です。

BCP対策 入退室管理 - BCP対応の入退室管理システム選定チェックリスト。「スタンドアローン動作」「ローカルログ保存」「登録

Q: BCP対応の入退室管理システムを選ぶ基準は?

スタンドアローン動作の可否、停電時の動作モード設定、ローカルへの入退室ログ保存、既存電気錠との互換性の4点が主要な確認ポイントです。登録ユーザー数の上限も、複数拠点対応を見据えると重要な検討軸になります。


Lavish が事業継続計画に対応できる理由

ここからは、エナスピレーションの電気錠システム「Lavish」がBCP対策の文脈でどのような特徴を持つかを具体的にお伝えします。

Lavish は、電磁錠のコイルに銅素材を採用した高耐久設計の電気錠コントローラーシステムです。登録ユーザー数は最大20,000人に対応しており、本社・支社・物流拠点など複数施設のスタッフを一元的に管理できます。

リーダーはスタンドアローン / Wiegand出力 / 制御器モードの3モードに対応しています。スタンドアローンモードでは、上位サーバーやネットワークへの接続がなくてもリーダー単体で認証・解錠が動作するため、ネットワーク障害時でも施設の入退室制御を維持できます。

入退室履歴の管理は、ローカルPCのソフトウェアで完結します。インターネット接続に依存しない設計のため、通信障害が発生した状況でも記録の確認・管理が可能です。これはBCP対応において、クラウド一辺倒のシステムにはない強みです。

BCP対策 入退室管理 - Lavish 電気錠コントローラーシステム エントランス設置イメージ

DC12V・24V 両対応で、既存設備との配線互換性が高く、大規模な改修工事を伴わずに導入できるケースが多くあります。防水性能は IP66 準拠で屋外設置にも対応しており、エントランスだけでなく駐車場ゲートや屋外倉庫の入退室管理にも活用できます。日本国内の各メーカーの電気錠に対応している点も、既存施設への導入をスムーズにする要因のひとつです。

「社員が少人数しか出社できない状況でも、重要なエリアへのアクセスを適切に制御したい」——そのような要件を持つ総務・防災担当の方に、Lavish の構成をご提案しています。導入規模・用途に合わせた設計のご相談は、以下よりお気軽にどうぞ。

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