エレベーターは建物の各フロアへの「通り道」であるがゆえに、セキュリティ上の盲点になりやすい場所です。エントランスにオートロックを設けていても、エレベーターそのものに制御がなければ、権限のない人物が上階へ自由に移動できてしまいます。「テナントから不審者の目撃情報が相次いでいる」「夜間の侵入トラブルが心配」——そんな声を管理組合や施設担当者から聞くことは、決して珍しくありません。この記事では、エレベーターのセキュリティ制御の基本的な仕組みから、入退室管理システムとの連動方法、導入時に確認すべきポイントまでを実務的な視点で整理します。

エレベーター セキュリティ 制御 - Modern high-rise office building lobby interior wi

エレベーターのセキュリティ制御が必要とされる理由

「エントランスさえ管理していれば大丈夫」と考えていませんか?

残念ながら、エントランスのオートロックだけでは建物全体のセキュリティを担保するには不十分なケースが多くあります。配達員や来訪者が入館した直後に、別の人物がすり抜けて入ってしまう「共連れ」は、オフィスビルでも商業施設でも日常的に発生しています。

エレベーターにアクセス制御がない場合、エントランスを突破した人物は何のチェックも受けずに任意のフロアへ移動できます。テナントが機密情報を扱うオフィスや、居住者のみが使うべきマンションの共用フロアであれば、その影響は深刻です。

セキュリティの業界では「多層防御(Defense in Depth)」という考え方が基本とされています。建物入口→エレベーター→フロア扉→室内という複数の層でアクセスを制御することで、一箇所の突破が即座に被害に直結しない構造を作ることが目標です。

エレベーター セキュリティ 制御 - 建物入口(オートロック)→エレベーターホール(認証)→各フロア(入退室管理)→室内(鍵・電気錠)とい

Q: エレベーターのセキュリティ制御とはどのような仕組みですか?

A: 認証済みのカードやPINコードを持つ利用者のみが特定のフロアボタンを押せるよう、エレベーターの制御盤と入退室管理システムを連動させる仕組みです。未登録者は行き先階を選択できません。

アクセス制御システムとの連動——技術的な仕組み

エレベーターのセキュリティ制御は、大きく分けて2つのアプローチがあります。

① エレベーターホールへの入室を制限するアプローチ

エレベーターの乗り場(ホール)そのものへの扉に電気錠や電磁錠を設置し、認証した人のみが入れるようにする方法です。比較的シンプルな構成で導入でき、既存のエレベーター設備に手を加えずに済むケースが多くあります。

② エレベーター内部の行き先フロアを制限するアプローチ

エレベーターのかご内に認証端末を設置し、利用者が行き先階のボタンを押す前にカードや暗証番号で認証を求める方法です。エレベーターメーカーとの連携や制御盤への接続が必要になりますが、フロアごとに細かい権限設定が可能です。たとえば「このカードは3階と6階のボタンしか押せない」という制御ができます。

どちらの方式を選ぶかは、建物の規模・テナント構成・セキュリティレベルの要件によって変わります。複合的に両方を組み合わせる事例も増えています。

入退室管理システムとエレベーターを連動させる際には、Wiegand(ウィーガンド)インターフェースを使用しエレベーターボタンの接点制御を行います。WiegandはICカードリーダーと制御盤をつなぐための業界標準プロトコルで、接点制御は多くのエレベーターが対応しています。

Q: エレベーターの行き先階制限は既存の設備に後付けできますか?

A: エレベーターが接点制御に対応していれば後付けが可能です。対応可否はメーカーへの確認が必要です。

具体的には、認証端末(カードリーダー等)が読み取った情報を制御盤へ送り、制御盤が「この人物は何階まで許可されているか」を判定してエレベーターのボタンのロック・解除を接点制御により実現します。

エレベーター セキュリティ 制御 - カードリーダー→入退室管理コントローラ→(接点制御)→フロアボタン解除

導入前に確認すべき5つのチェックポイント

「導入したいけれど何から始めればいいかわからない」という担当者の方は多いと思います。エレベーターのセキュリティ制御は、計画段階での確認事項が後の工事内容に大きく影響するため、以下のポイントを事前に整理しておくと話がスムーズに進みます。

1. 既存エレベーターの制御盤の仕様確認

エレベーターメーカー(または保守会社)に「接点制御で呼び出しボタン、フロアボタンを制御可能か」を確認してください。対応していない機種では、改修費用や代替案の検討が必要になります。

2. 認証方式の選定

ICカード・暗証番号・指紋・顔認証など、建物の用途と利用者層に合った認証方式を選びます。不特定多数が利用する商業施設ではカードが一般的ですが、高セキュリティ施設では生体認証を採用するケースも増えています。

3. 登録ユーザー数と管理規模

テナント数・従業員数が多い大型ビルでは、登録ユーザー数の上限が実務上の制約になることがあります。システム選定時には現在の人数だけでなく、将来の拡張性も考慮してください。

4. 管理ソフトウェアとの統合

入退室履歴の記録・照会、権限変更の即時反映、アラート通知——これらをまとめて管理できるソフトウェアが整備されているかどうかは、日常の運用コストに直結します。

5. 防水・環境仕様(屋外設置の場合)

屋外や半屋外のエレベーターホールに端末を設置する場合、IP66などの防水規格に対応した機器を選ばないと、雨や結露で故障するリスクがあります。

Q: エレベーターの入退室管理システムで何人分のユーザーを登録できますか?

A: システムによって異なりますが、大規模ビル向け製品では最大20,000人の登録に対応するものもあります。導入前にビルの規模に合ったシステムを確認することが重要です。

エレベーター セキュリティ 制御 - エレベーターホール制限方式とかご内フロア制限方式の比較表。比較項目:初期コスト・設置工事の複雑さ・フ

Lavishが対応するエレベーター制御の仕組み

ここまで読んでいただいた方はおわかりかと思いますが、エレベーターのセキュリティ制御はリーダー単体ではなく、制御システム全体の連携で成り立っています。弊社の電気錠・入退室管理システム「Lavish」は、このエレベーター連動のニーズに対応した設計になっています。

Lavish では履歴管理機能のある制御盤があり、エレベーターの制御ができるようになっています。

認証リーダーが読み取ったカード情報を制御盤が判定し、エレベーターの行き先フロアのアクセス権を管理する流れです。

登録ユーザー数は最大20,000人まで対応しており、複数テナントが入居する大規模ビルでも一元管理が可能です。利用履歴はローカルPCで管理・照会でき、誰がいつどのフロアにアクセスしたかを記録として残せます。

エレベーター セキュリティ 制御 - Lavishカードリーダー エレベーターホール設置イメージ

Q: Lavishはエレベーターメーカーのどのメーカーと連動できますか?

A: Lavishは日本国内の主要エレベーターメーカーとの接続実績がございます。詳細は個別のご相談にて確認が必要です。

導入後の運用——管理負担を下げるための視点

システムを入れて終わり、ではありません。

エレベーターのセキュリティ制御は、導入後の権限管理が運用の肝になります。テナントの入れ替え、従業員の異動・退職、イベントに伴う一時的なアクセス許可——こうした変更に対して、管理ソフトウェアでどれだけ素早く対応できるかが、実務上の評価ポイントになります。

権限変更に時間がかかるシステムでは、「退職者のカードがまだ使える状態になっていた」というセキュリティホールが生まれるリスクがあります。ビル管理の現場では、こうした運用の抜け漏れが実際のトラブルにつながった事例も少なくありません。

Lavishではローカル管理ソフトウェアを通じた権限変更・ユーザー管理が可能です。ビル管理会社の担当者がPCから操作して、フロアごとのアクセス権限を即時更新できる設計になっています。

日常の運用コストと管理の手間を見積もったうえで、導入後の体制設計まで含めてシステムを検討することをおすすめします。


エレベーターのセキュリティ制御に関するご相談や、Lavishの詳細仕様の確認は、以下のお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。建物の規模・用途・既存設備の状況をお知らせいただければ、担当者が具体的な構成案をご提案します。

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