費用・導入
大規模施設の入退室管理、扉数で変わる価格の試算方法と見積もりの見方
目次
大規模施設の入退室管理で扉数が増えると、価格はどう積み上がるのでしょうか。稟議のための試算を求められ、手が止まっている購買担当の方は多いはずです。見積もりは会社ごとに書き方が違います。扉単位の月額、一式の工事費、機器ごとの単価が混ざっているため、そのままでは並べて比べられません。費用を「扉数に比例するもの」と「比例しないもの」に分ければ、扉が50でも200でも同じ考え方で試算できます。ここでは、費用の内訳と公開されている相場の目安、扉数から総額を組み立てる手順、見積もりを比べるときに差が出やすい項目を順に整理します。

大規模施設の入退室管理の価格は「扉数×構成」で決まる
試算の結論から書きます。大規模施設の入退室管理の総額は、扉1枚あたりの機器費と工事費に扉数を掛けた額が中心になります。そこに制御器や管理ソフトなどの共通費と、月額・保守などの運用費が加わります。扉ごとに求めるセキュリティの水準を決め、等級ごとに単価を出すと、精度の高い試算になります。
「1扉いくら」という数字だけで予算を組み、あとから足りなくなったことはありませんか?
参考として、公開されている相場の目安を見てみます。入退室管理システムの価格を整理した SECURE-SERVICE のコラムでは、機器費用が約2万〜150万円(認証方式による)、設置工事費用が約5万円〜(配線距離やフロア数により変動)、システム設定費用が約5万円〜(システムの規模により変動)とされています。ITトレンドの記事には、月額課金型の目安として小〜中規模企業向けで月額5,000円〜10,000円/扉、中〜大規模企業向けで月額10,000円〜/扉、初期費用は無料もしくは5万〜10万円程度という記載があります。
幅がかなり広いと感じた方もいるでしょう。この差は、認証方式(カード、顔、指紋など)、片側認証か両側認証か、既存の扉や配線をどこまで活かせるかで生まれます。ITトレンドの記事でも、課金単位や工事の有無で費用の見え方が変わると注意されています。相場の数字は、試算が大きく外れていないかを確かめる物差しとして使うのが現実的です。
Q: 大規模施設の入退室管理は1扉あたりいくらかかりますか?
A: 公開情報では機器費約2万〜150万円、工事費約5万円〜が目安です。認証方式と工事範囲で大きく変わるため、扉ごとの構成で積算します。
扉数に比例する費用・しない費用を分けて試算する
試算でいちばん時間がかかるのは、計算そのものより扉リストの整理です。
現場でよくある例として、図面から扉を拾うと非常口、倉庫、機械室、テナント間の連絡扉まで含めて想定の倍近い数になり、「全部に付けるのか」で議論が止まるケースがあります。最初に扉を等級分けしておくと、こうした手戻りを減らせます。等級の例は次のとおりです。
- 等級A(高セキュリティ): サーバー室・研究室・金庫室など。入室と退室の両方で認証し、履歴を細かく残したい扉。リーダーは扉の両側に必要
- 等級B(標準): 執務エリアや部門の入口。入室はカードなどで認証し、退室は室内の解錠ボタンで出る構成が一般的
- 等級C(共用部): エントランスや共用通路。営業時間は開放し、夜間・休日だけ施錠するスケジュール運用が中心
等級を決めたら、等級ごとに「電気錠+リーダー台数+解錠ボタン+配線・取付工事」の1扉単価を出します。この単価に扉数を掛けた合計が、扉数に比例する費用です。
比例しない費用もあります。複数の扉をまとめて制御するネットワーク制御器は、1台で扱える扉数に応じて台数が段階的に増えます。管理ソフト、管理用PC、初期設定、運用ルールの設計などは、扉数が増えても大きくは変わりません。試算表では「比例費」「段階費」「固定費」「運用費」の4列に分けておくと、扉数を変えて再計算するのが楽になります。
意外に見落とされやすいのが、扉以外の連動です。エレベーターの行先階制御、自動ドア、火災時の一斉解錠などを組み込む場合、扉とは別に連動工事が必要になる可能性があります。火災時の連動は消防設備と関わるため、建物の設計者や所轄の消防署への確認を前提に計上してください。
Q: 扉数が多い施設の入退室管理費用はどう試算しますか?
A: 扉を等級分けし、等級ごとの1扉単価×扉数を出します。そこに制御器・管理ソフトなどの共通費と月額・保守の運用費を足して総額にします。
見積もり比較で差が出るポイントとランニングコスト
複数社から見積もりを取り、総額の差が大きすぎて戸惑ったことはないでしょうか。
よくあるご相談として、A社は「扉単位の月額+初期費用」、B社は「機器・工事一式の買い切り+保守契約」で提示され、どちらが安いのか判断できないというものがあります。課金の形が違う見積もりは、同じ保有期間の総額にそろえて比べるのが基本です。5年や7年など、社内で設備を使い続ける想定期間を先に決めておいてください。
扉単位の月額課金は、初期費用を抑えられる点が利点です。その一方で、扉数を掛けた額が毎月かかり続けます。扉数が多い施設ほど、保有期間全体での差が開きやすくなります。ユーザー単位の課金なら、扉数より従業員や入居者の数が効いてきます。大規模施設では、どちらの単位で課金されるかを必ず確認したいところです。
見積書で確認したい項目は、課金単位のほかにもあります。既存の電気錠や配線を流用する前提か、すべて新設か。天井裏の配線や扉の加工、防火戸への取り付けが工事範囲に入っているか。機器の保証期間は何年で、保証が切れたあとの修理費はどうなるか。ネットワーク回線が切れたときに扉が開けられるのか、閉じ込めや締め出しが起きないか。扉を増やすときの追加費用の単価はいくらか。正直なところ、ここが曖昧なまま契約し、増設のたびに想定外の費用が出るケースは少なくありません。
カードの追加発行費や、管理ソフトのライセンスが端末の台数ごとにかかるかも見ておくと安心です。どれも1件あたりは小さな金額でも、数千人規模の施設では積み上がります。
Q: 入退室管理の見積もりを比較するときの注意点は?
A: 課金単位(扉・ユーザー)をそろえ、保有期間の総額で比べます。工事範囲、保証期間、回線断時の動作、増設単価も確認項目です。
Lavishで組む大規模施設の構成と費用の考え方
ここからは、弊社の電気錠ブランド Lavish で大規模施設を組む場合の考え方をご紹介します。扉数が多い施設で費用を左右するのは、運用費が扉数に連動するかどうかと、既存設備をどこまで活かせるかです。

扉の制御には、ネットワーク制御器 COA-23F/COA-45F を使います。登録できる人数は20,000人で、インターロックやアンチパスバックといった制御も制御器側で設定できます。管理ソフト Lavish Smart Access は無料で、Windows のPCで利用できます。Lavish は日本国内の各メーカーの電気錠に対応しているため、既存の電気錠を活かせるかどうかもご相談いただけます。エントランスやエレベーターの制御にも対応しています。
複数拠点やクラウドで管理したい場合は、COA-23F/45F にクラウドゲートウェイ GW-2(有線LAN)を追加すると、弊社のクラウドサービス WatchKey につながります。GW-2 は1台で複数台の COA を制御できます。WatchKey の利用料は月額0円で、REST API や Webhook 通知の利用料もかかりません。そのため、扉数が増えても運用費が扉単位で積み上がることはありません。機器代・施工費・回線費は別途必要です。回線が切れた場合も、COA に登録済みのカードや QRコードで入退室を続けられます。
保証は全製品2年で、故障したときは弊社が製品の修理・交換を行います。取り付けや機器同士の配線には専門の知識が必要です。弊社へ直接ご相談いただければ、現地調査とお見積りから施工までお受けします。お付き合いのある施工店経由でのご導入も可能です。
Q: Lavishで大規模施設を管理するとき月額費用はかかりますか?
A: WatchKey の利用料は月額0円、API の利用料も無料です。COA-23F/45F とクラウドゲートウェイ GW-2 の機器代・施工費・回線費は別途かかります。
扉リストと等級分けの案がまとまったら、試算の精度を上げる段階です。事前に要件を整理するなら電気錠ヒアリングシート、導入までの段取りは導入の流れをご覧ください。扉数と希望する運用をお知らせいただければ、構成案とお見積りをご用意します。

